茅ヶ崎市美術館のまわりは、昔からの細い道が入り組んでいるため、「道に迷いやすい」と言われることがあります。
しかし、*MULPA(マルパ)というプロジェクトにおいて、ある弱視の方が、この複雑な美術館までの道のりを“むしろ迷路のように楽しんだ”と言ったのです。
このことをきっかけに、美術館周辺の道が複雑で分かりにくいという要素を、異なる認識、価値観から捉えるため、*インクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークを2018年から1年半にかけて行いました。
「美術館まで(から)つづく道」では、フィールドワークに参加したアーティストが実際に茅ヶ崎を歩いた体験をもとに創作し、五感を用いて鑑賞する新たな作品を展開します。
「美術館まで(から)つづく道」について
開催期間:2019年7月14日(日)~9月1日(日)
開催時間:10時~18時(入館は17時30分まで)
休館日:月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45 茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3
観覧料:一般600円(500円) 大学生500円(400円) ※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下、障害者およびその介護者は無料。市内在住65歳以上の方は無料
公式サイト:http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/2019-0714-0901/
インクルーシブデザインとは?
高齢者、障害者、外国人などの多様な人々をプロセスの最初から巻き込むことで、従来の思い込みを打ち破り、新たな発想力を引き出す手段として近年注目されているデザイン手法です。
4組のアーティストによる新作を展開
短冊形の作品を揺らすと、様々な音が響く!
作:金箱淳一(メディアアーティスト/神戸芸術工科大学助教)+原田智弘(音空間デザイナー/ソラソレ堂 )
聴覚障害がある方と、茅ヶ崎の道を歩いたフィールドワークをもとに制作。
風に恵まれた茅ヶ崎の原風景について、音と触覚による記憶の記録を試みています。
小さな子と鳥をテーマに、複数の時間を一つのキャンバスに描いた絵画作品!
作:原良介(画家)
2才の子どもとベビーカーユーザーのお母さんと、茅ヶ崎の道を歩いたフィールドワークをもとに制作。
人と自然との距離を制作主題にしている、画家・原良介による作品。
茅ヶ崎の道で捉えた6つの香りがケースに入った、探検用貸し出しキット!
作:稲場香織(資生堂グローバルイノベーションセンター 香料開発グループ研究員)
視覚障害がある方と盲導犬と、美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。
道におけるにおいの変化をパレットに落とし込んだ作品。
※受付で香りパレットを貸し出します
指を使って作品に触れながら歩くと、音や光や香りが次々と現れる!
作:MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕(アーティスト、エンジニア、デザイナー)
視覚障害がある方と盲導犬と、美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。
電気、光、音、香りなどを用いたオブジェやインスタレーションの制作を行うアートユニットによる電子デバイス作品。
茅ヶ崎の散歩記憶を記録し、膨大なリサーチをもとにした壮大なインスタレーション!
作:アーサー・ファン(美術家/理化学研究所脳神経科学研究センター研究員)
電動車椅子ユーザーの方と、美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。
美術家で脳神経科学の研究員でもあるアーサー氏が、茅ヶ崎の道を歩き、散歩の記憶を地図のように記号や線で記録した作品。
貴重な所蔵品も合わせて展示!
当館所蔵品の中から萬鐵五郎、小山敬三らによる茅ヶ崎を描いた作品も展示し、異なる時代を生きた表現者のイメージが交錯する場とします。
展示作家
- 萬鐵五郎 (よろず・てつごろう) 1885(明治18)-1927(昭和2)年
- 小山敬三 (こやま・けいぞう) 1897(明治30)-1987(昭和62)年
- 三橋兄弟治 (みつはし・いとじ) 1911(明治44)-1996(平成8)年
- 岡本喜久司 (おかもと・きくじ) 1920(大正9)-1987(昭和62)年
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